東京高等裁判所 昭和25年(う)4010号 判決
原審第九回公判調書の記載に徴すると、被告人尹充伊に対する所論昭和二十四年七月一日附起訴事実及び同年十二月七日附起訴事実について検察官がその釈明又は訂正を申し立てており、その中には訴因の変更と目すべきものも存することが認められるが、検察官のこの申立は同被告人出頭の同公廷において口頭をもつて行われたものであり、これに対し裁判所は、これを却下することなく次の手続に進んでいること明らかである。かかる場合裁判所が取り立てて訴因変更許可の決定をするまでもなく刑事訴訟法第三百十二條第一項による訴因の変更の許可がなされたものと認めるのを相当とする。尤も裁判所が同法條第三項に則り右訴因の変更を被告人に通知した形跡は記録上発見できず、この点違法のそしりを免れないが、いやしくも前記のように被告人出頭の公廷において検察官が口頭で右訴因変更の申立を行つたものである以上、同一内容の事項を更めて裁判所から被告人に通知しなかつたからといつて、右違法を目して判決に影響を及ぼすものと認めることはできない。従つて原判決には所論のような違法はない。論旨は理由がない。